恋愛事案は内密に

お昼を告げる音が窓際の近くに飾られた掛け時計から聞こえてきた。

「森園さん、お昼休憩です」

「あ、はい」

カタログや開いていた会社のホームページを閉じる。

高清水さんは机の上に広げた書類を片づけると、すくっと立ち上がる。

「お昼一緒にいかがですか?」

「あたし、会社の人間と友達になるなんてさらさらないんで」

「……そうですか」

「あ、給湯室は事務室と試作室の間にあるんで。見ればわかるんで自由に使ってください」

「はい」

「休み時間はパソコンでネットしててもいいですから。もし電話鳴ったらよろしくお願いします」

そういうと、サイフを片手に事務室をあとにした。

キッパリ言ってくれることに、逆にすがすがしさを覚えた。

私が若いころは上の人間にゴマすったり、お世辞をいったりして、仕事というか人間関係っていう仕事処理のほうが大変だった。

あんなに割り切れるなんてうらやましい。