恋愛事案は内密に

「これは一番肝心なことですが、むつみさんを解放してもらいにきましたよ」

「ちょっと待ってくださいよ。何言ってるんですか。お宅と取引してるんですよ。むつみは関係ないじゃないですか」

大和はいやらしい笑みを浮かべている。

「あなたはもう担当を外れたはずでは?」

所長は腕組みして、首をかしげた。

「えっ、何言ってんだ、あんた」

「だから、辞めるんでしょう。今の会社を」

「は?」

大和が会社を辞める? どういうことなんだろう。

入社からずっと骨をうずめる覚悟で働くって言ってたのに。

出世していいポストに就くって張り切って仕事していた人なのに。

「栗林さんから聞いています。西日本の例の精密機械会社にヘッドハンテングされたとかで」

「もうそんな話が?」

「業界では話題ですよ」