恋愛事案は内密に

「ああ、ちょうどいいよ。栗林」

にやけた顔をしていたスーツ姿の栗林さんだった。

「悪いな、森園さん」

「栗林さん! どういうこと!?」

「大和がいい仕事を振ってくれるっていうもんだから、それに乗っかっただけだよ」

「快く協力してくれるってさ。よかったな、むつみ」

「いやっ、放して」

大和は私を車に無理やり押し込めらるように乗せた。

車は観覧車の横を通り、港が望む公園の前のホテルへと進んでいった。

この街のホテルの中でも老舗の高級ホテルで、本館は歴史に残る建造物で、外装も内装もレトロな雰囲気のままの状態で保存されていた。

「騒ぐなよ。後々面倒だからな、お互いに」

まだ新しく建てられた新館のタワーホテルの玄関に車をつける。

大和に手をつかまれたまま、車から出た。

ドアマンに車を預け、栗林さんと大和に挟まれるようにロビーを歩き、エレベーターに乗る。

最上階につき、エレベーターを降りる。

エレベーターホールから左に折れたところのドアの前に立ち止まる。

大和がドアホンを鳴らし、自身の名前をつぶやく。

内側ドア鍵をはずす音がした。