恋愛事案は内密に

大和からキスされた。人目もはばからずに。

以前の私なら待っていた大和のキスなのに何にも感じない。

乾いた感情のないキスははじめてだった。

えへへと照れ笑いをする大和をテレビや映画を観ているようなそんな感覚に襲われながら、キスした唇を洗うかのように注文したお酒を飲んだ。

つられて大和もグラスに残ったカクテルを飲み干すと気合いを入れたように調子のいい声で言った。

「じゃあ、ちょっと行こうか」

「え? ここで会うんじゃないの?」

「別の場所だよ。相手の指定されたところさ」

大和は浮かれたような足取りで私は後をつきながらバーを出て、エレベーターに乗る。1階のボタンを押した。

「ねえ、どこに連れていくの?」

「大丈夫。オレがついてるから」

1階に到着し、エントランスを抜け、玄関前で立ち止まった。

「さて、そろそろかな」

ホテル玄関前にヘッドライトを灯した白い車が横付けされた。

運転席から降りてきたのは、見覚えのある姿だった。

「時間は大丈夫か?」