恋愛事案は内密に

「ああ、そうだ。戦いにはまず必要な勝負服が必要ですね」

「このドレスで行きますよ」

「ダメです。このドレスは僕のために着てください」

口角はあがっているけれど、瞳は笑っていなかった。

「……わかりました。でも」

「僕にいい考えがあります」

所長とともに、一旦着替えを取りに自宅に戻る。

Tシャツにデニムと軽装な服を着たけれど、やっぱりカジュアルなむつみさんもいいと褒めてくれた。

駅方面へと足を進め、見なれた並木道を通っていくと、以前行った紳士服のお店にたどりつく。

店の中に入ると男性店員と女性店員が迎えてくれた。

「五十嵐様、お待ちしておりました」

「彼女に見合う服、お願いできますか?」

「かしこまりました」

女性の店員が私を連れていったのは、婦人服のコーナーだった。

上質な素材でつくられたドレスやスーツが目を引く。

そういえば、以前所長とこのお店を訪れたときに婦人服を取り扱うチラシをもらったな、と思い出した。

数点のカラーフォーマルスーツを取り出し、体にあてがいながら、女性店員は鏡に映る私の姿を見ては悩んでいる様子だった。