恋愛事案は内密に

これでよかったんだ。所長も私も。

こういう関係が一番傷つけなくて済む。

でも、このささくれだった気持ちはなんだろう。

急に目頭があつくなった。

日曜は特別用事はなく、しかたなく部屋の片づけと食材を探しにスーパーに行き、空いたカゴを埋めるように酒コーナーの棚からビールや焼酎のボトルを入れ、レジに向かう。

会計中にも家族連れがいて、私のレジにたくさんのお酒が並んでいるのを黙ってみていた。

会計が済んで重くなったレジ袋を持って自宅に戻る。

洗面台に顔を映す。

汗なのか涙なのかよくわからないぐらい頬に流れている。

醜い顔が映し出されていた。

月曜日、スマホの時計が起床時間を知らせるアラームが部屋じゅうに鳴り響く。

少し頭が痛いなと思いながら、アラームを消す。

テーブルに転がったビール缶や焼酎のボトルが転がっていることで、現実を知る。

しぶしぶ昨夜の後片付けをして、会社へ向かった。

会社のビルに入っても、エレベーターに乗っても、もしかしてここで所長が登場? みたいなことになったらどうしようという変な期待があったものの、あっさりと営業所の扉を開き、普段通りに制服に着替えて事務所に入る。

高清水さんも北野さんも普段通りに座っていて、所長だけがその場にいなかった。

「金曜はお疲れ様ね」

「北野さん、ありがとうございました」

席につくと、高清水さんがいつものキリリとした顔つきではなく、少しにやついた顔で話しかけてきた。

「で、どうでした? 所長とは」

「えっ?」

「ちょっと麻衣ちゃん」

あははと軽く笑っている北野さんに、高清水さんは壁にかかった時計を指差す。

「勤務時間前だからいいじゃないですか」