恋愛事案は内密に

心地良い目覚めはいつぐらいだろう。

大和のぬくもりを感じ、寝息をたてているだけで安心したから。

そんな朝に似ていた。気配を感じてベッドから飛び起きる。

「おはようございます、むつみさん」

床に敷かれた布団の上に座り、少し髪の毛をはねさせながら、ニコリとほほ笑んでいる。

「あ、あの……」

「しばらく見てました。寝てる姿を」

「変なこと、しませんよね」

「してほしかったんですか?」

「それはちょっと……困ります」

「そう思ってしませんでした」

少しがっかりしてしまうなんて、自分が情けない。

「あと、時間があったので、本を借りて読んでました」

「……てそれは」

初歩的なビジネス書にまぎれて、キュンキュンくる恋愛小説までもが枕元に積まれている。

あわててかき集めるように拾い上げる。

「勉強になりましたよ。いろいろと」

ふふ、と笑うと、さてと、と立ち上がると所長は気持ちよく伸びをする。

「着替えてきますから、ご飯一緒に食べましょうか」

「えっ」

「このあと、予定ないんでしょう」