恋愛事案は内密に

家にあるもので適当に夕飯を作り、だらだらとスマホをいじってからお風呂に入る。

髪の毛と体を洗い、ちょうどいい温度の湯に浸かると、今日一日のことを思い返すいい時間になる。

充実した濃い一日だった。

あんなに不安だった研修だったけれど、恵まれた班だったからかもしれない。

駒形さんは初めてで少し怖そうな感じだったけれど、コンクールのときも皆の緊張をほどこうとして真面目な顔をしながらダジャレを連発して周囲を笑わせてくれていた。

そんなおちゃめな部分があるから、その先にある心くすぐる何かを知った北野さんがコロリと恋に落ちたのかもしれない。

栗林さんは以前の取引していたときに見せたあの態度とは違ってお調子ものだったけれど、調子に乗りながらも周りを気遣うそぶりは、高清水さんが好きになったのかなと。

高砂さんはどこにでもいる情報通だったけれど、どこかまだ駒形さんに未練でもあるんだろうか。

――変なことしてほしいんですか?

――ホントはこのまま帰したくない。

この二つの所長から出た言葉が耳にこびりついて離れなかった。

やっぱり浮かぶのは所長のあのまっすぐな瞳だ。

まるで見透かされるような強い視線に、体が反応してしまう。

明日、どういう顔で所長に会えばいいのかわからなかった。

何考えてるんだろう、私は。

所長のことなんて、どうも思ってもない。

そう、言い切れる自信はあるのか。

ダメだ。

これ以上浸かるとのぼせそうなので、勢いをつけて湯船からあがった。