恋愛事案は内密に

「えっ」

所長の言葉に、何を返していいのか、よくわからなくて、ただ甘く響く声に心が揺れた。


「……なーんて言われたら困りますよね。これじゃあセクハラだし」

「ですよね。大丈夫です。冗談と受け取りますから」

所長はまっすぐ前を向いて、私の返した言葉に対して無言で口角をあげた。

道なりに走ってもらい、マンションの前の道に横付けしてくれた。

「じゃ、また明日」

「お疲れ様でした」

挨拶し、車から外へ出た。

すると、助手席の窓が下がった。

「楽しそうでうらやましいな。僕も参加したかったですよ」

そういうと、まっすぐ私をみつめてきた。

いたたまれなくて視線をそらすと、それじゃ、また、と助手席の窓を閉め、車を駅方面へ走らせていった。