恋愛事案は内密に

「ホント、今日は研修に来られてよかったです。ありがとうございました」

司会の社員の人から解散が告げられると、各々の社員たちは次々に会場を後にしている。

C班のみんなは何も言わずに帰ろうとしていたところ、いてもたってもいられずに声をあげた。

他の人も名残惜しそうな雰囲気にのまれ、その言葉を待っていたかのようだ。

「改まっちゃって。森園さん、また仕事でポカしないようにね」

高砂さんがポンポンと軽く肩を叩いてくれた。

「あ、はい」

「やっぱり、森園さんでこの班、よかったよ。まあ、麻衣ちゃんがいなくて残念だったけど」

高清水さんの件は関係ないじゃない、と高砂さんが口をとがらせながら言う。

「まあ、所長がしっかりしてるから。見習えよ」

駒形さんがやさしい表情を浮かべながら、力強いコメントを述べてくれた。

「何ですか? 会場に来てみたら。みんなで何コソコソやってるんですか?」

聞き覚えのある声がする。

振り返ると紺色のスーツに、青いネクタイを締めた所長が立っていた。