恋愛事案は内密に

「……まさか、乗るとは思いませんでした」

一周15分楽しめる観覧車。日曜ということもあり、少し列に並んで順番がきたので向かい合わせるように乗った。大きい体なのに小刻みに震えていて、何だかかわいらしかった。

「平気なんですか」

「ええ、まあ」

「うらやましいですね」

何度も何度もこの観覧車に乗った。

いつかあのホテルに泊まろうね。

あんなところで挙式できたらおもしろいよね。

頂上に到達したとき、二人の唇が重なったこともあった。

「むつみさんっ!」

うっとりと過去のことを思い浮かべていたところで、所長のこわばった大声にびくっとしてしまった。

所長は震えつつもメガネ越しからにらんでいる。