恋愛事案は内密に

事務室の所長の近くにある書類棚の後ろにさまざまな鍵がかかっていて、試作室の鍵もそこに保管されている。

試作室は所長の許可がなくては入れない場所だが、掃除をする場合は事後でも大丈夫とのことだった。

人気のない事務室のスペースと同じ広さの試作室にはガラス張りの棚の中に型式カタログに載った部品の一部や書類の入ったバインダーが保管されている。

社外秘なものが含まれているため、どれも鍵がないと開けられないようになっている。

入念に掃除をし、高清水さんに掃除が終わったことを告げ、鍵を所定の場所へ戻した。

定時に終わり、いつものように着替えて一階のロビーに降り立つと、所長とちょうど蜂合わせた。

「今日は時間がありましたから、室内清掃をしていました。高清水さんからあとで報告があると思いますが、試作室にも入らせていただきました」

「そうでしたか。ありがとうございます」

所長は丁寧におじぎをしてくれた。

やっぱりまっすぐ見つめる瞳が胸を打つ。自分の気持ちを悟られないように別の話を振った。