月のいない世界 手探りで歩く



太陽は言う

何故歩く
歩く必要は無い、と。



─月を探しているのです。 海を照らす月を。



照らす必要は無い
君はただ眠りにつけばよい



─こわいのです。



なにが・・・?



─誰も彼もが私を忘れてしまうことが。

月は私を見ていてくれる
私を忘れてはいないよと照らしてくれる

全ての哀しみを優しく包んでくれる

全てが忘れ去られた闇を照らしてくれる



哀しみ・・・



─そう。明るいだけでは生きて行けないから。




太陽はそっと瞳を逸らした





──太陽の陰から月のしっぽが見えた








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