試合が終わり、一組メンバーは教室へ戻っていた。

 ただ、麗奈と亜樹はその中にはいない。麗奈は綾香達六組メンバーと話があるらしく、体育館に残っている。亜樹は試合で足を挫いた為、保健室へ湿布を取りに行っていた。


「ワリィな」

 そう言ってガックリとうなだれる康平に、誰も突っ込む者はいない。


「最初に言ったろ! 所詮球技大会はお祭りなんだからさ。あんまクヨクヨすんなって」

 ようやく長瀬が言葉を掛けた時、麗奈が上機嫌で教室に入る。

 それに気付いた山根が言った。

「麗奈ちゃんどうしたの? やけに嬉しそうじゃない?」

「さっき綾香達と話したんだけどさぁ、ケーキバイキングに賭けたお金は、半々にしようって事になったんだ。亜樹をリタイヤさせたお詫びがあったみたい」


「……って事は、あの六組のハーフみたいなバスケ部員と一緒に食えるんじゃん」

 野球部の山崎は嬉しそうに話す。どうやら綾香の事を言っているようである。