臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 六組のスローインから試合を再開しようとした時、審判の笛が鳴った。麗奈が亜樹の足を心配して、交替の合図をしていたのだ。


「勝手に交替の合図を出しちゃってごめんね」

「いいよ! このままじゃ足を引っ張りそうだし、私も交替しようか迷ってたんだ。……チョット残念だけどね」

 麗奈は亜樹と入れ替わってコートに入る。


 スローインの場所に行こうとした綾香に、梓が何やら話している。

「分かったわ! ……あずちゃん(梓)は、これで心置きなくプレーできるのね?」

 ボールを右脇に抱えた綾香に、梓は首を縦に二回降った。


「みんな、ディフェンスのままでいいからね」

 そう言って綾香は長瀬にパスを送る。


 ボールを受け取った長瀬は、綾香達の意図をすぐに理解したようで、綾香がポジションにつくまでドリブルをしながら待っていた。


「じゃあ今から再開な!」

 長瀬の一声をキッカケに、全員が忙しく動き始めた。