臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 再び亜樹が梓をブロックする。村田がフリーでリバウンドを拾う筈だったが、駆け付けた綾香がスクリーンアウトで村田の役目を阻んでいた。

 ゴール下は女子達の熾烈なリバウンド争いになった。

 梓が無理な体勢から亜樹に覆い被さるようにジャンプをした。亜樹も負けじと上に跳んだ。

 亜樹が辛うじてボールを掴んだが、着地する際に梓とぶつかり、バランスを崩してしまった。転倒こそしなかったが、亜樹は右足を引きずりながら三歩歩いてしまっていた。


 審判はホイッスルは吹いたものの、トラベリングにしようかファウルを取ろうか迷っていたが、結局トラベリングで六組ボールとなった。


「ごめんなさい! ……本当にごめんなさい」

 梓はプレー中と異なり、今にも泣き出しそうな顔で、百八十一センチの長身を何度も九十度に折り曲げて亜樹に謝っている。

「大丈夫よ! 右足を軽く捻っただけだから。……それに、私も無理な体勢からジャンプしちゃったしね」

 亜樹は両手を軽く前に出し、梓を抑えるような仕草で彼女をなだめていた。