臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 一度フェイクをした康平が亜樹にパスを送った。

 亜樹がシュートを決めて二点差に詰め寄った。


「ナイスシュート!」

 康平が亜樹に声を掛けたが、彼女は冴えない表情になっていた。

「康平のシュート、今日まだ一回しかリバウンドを拾えてないのよね」

「気にすんなよ! ……それに、この試合は特に大変だしさ」

「そこの二人、早くディフェンスに戻って! 綾香が攻められないよ」


 康平が答えた後に、控えの椅子から麗奈が大きな声で言った。だが、彼女は半分笑っているような表情だった。


 綾香はセンターラインを越えた辺りで、ドリブルをしながら二人の会話が終わるのを待っていた。

「もういいの?」

「ワリィな。それにしても麗奈は声が大きいんだよな」

「アハハ、麗奈ちゃんの声はよく通るからね。また言われると悪いから、今から試合再開ね」

 綾香は康平に言い終わると、すぐに左側へパスを出す。