だが、康平の両手からはボールが離れていない。彼は、中澤達から教わったフェイクを使っていた。ぎこちない動作だが、慌てて走ってきた健太には効果的だった。
康平はドリブルをしながら左前へ進み、今度は本物のシュートを放つ。
康平にとって、この試合二本目のシュートが決まった。
ディフェンスに戻る康平が控えの椅子をチラっと見た時、中澤と小谷が満面の笑みで親指を立てていた。
「あの二人に教わったんだ」
「まぁね。誰かさんと同じで分かり易く教えてくれたよ」
話し掛けてきた亜樹に康平は笑って答える。
六組の攻撃。センターライン近くにいる綾香が、メンバーチェンジしたばかりの男子へパスを出す。
彼も健太達と同様、無造作にゴール付近へ高くボールを放った。
例によって梓がジャンプをする。だが長瀬も同時に跳んでいた。


