臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 康平と山根のスリーポイントシュートで同点になった。梓に対して二人がかりでリバウンドを拾う亜樹の作戦が効を奏したのか、試合は一組ペースでゲームが進んでいく。


 一組が四点リードで迎えた前半終了間際、康平がシュートを放つ。これは入らなかったが、大きく外に弾いてリバウンドの勝負になった。

 亜樹は梓をスクリーンアウトで阻む。特にこの時は、亜樹が梓に軽く座るような形でガッチリとブロックしているので、ジャンプをすることすらも遮っていた。

 フリーの村田がリバウンドを捕ろうとジャンプした時、同時に綾香も跳んでいた。

 身長が百六十センチ前後の綾香に対して、やや大柄な村田がリバウンドを制し、村田からパスを受け取った長瀬がシュートを決めて更に点差が広がった。


 前半終了のホイッスルが鳴った後、健太が康平に近づく。

「康平、さては誰かに教わったんだろ? じゃなきゃお前があんな綺麗なシュートは打てないもんな。……まぁ誰に教わったかは訊くまでもねぇよな」

 健太は言い終わった後に左側をチラッと見る。彼の視線の先には綾香と話している亜樹がいた。