臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 試合開始から十分が経過し、三組の女子バスケ部員の一人がレイアップシュートを決めたところで、亜樹が審判に申告した。

 五人が総入れ換えのメンバーチェンジである。


「あれー、麗奈も下がっちゃうの?」

 サイドラインに向かう麗奈へ、三組の女子バスケ部員が声を掛けた。麗奈がずっと試合に出ると思っていたようで、意外そうな顔をしている。

「……そうよ、けど他のメンバーも結構やるからね」

 麗奈は少し悔しそうにして答えたが、同じバスケ部員なので仲はいいようだ。


「ゴメンね! 二点リードされちゃった」

 十四対十二のボードを見た後、麗奈は亜樹達に両手を合わせて謝るポーズをした。そして、亜樹にタッチしながら「逆転お願いね」と付け加える。



 試合が再開された。新しい五人の登場に、三組メンバーは早いプレスをせず様子を見ていた。