臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

 パスを貰った彼は振り向き様にシュートを狙う。目の前に相手チームの一人がガードをしていたので、後ろにノケゾリながらのシュートになった。

 決して綺麗なフォームではなかったが、ボールは意外にもゴールへと向かっていた。ボールはリングに当たって跳ね上がる。

 リバウンド対決になったが、ゴールに走りながらジャンプした麗奈がこれを制した。女子に限定してではあるが、身長が百七十センチを超える麗奈にとってこの対決は分がいいようだ。

 ボールの持ち主となった麗奈だが、彼女はすぐにその権利を放棄した。後ろの空いた空間に、味方のバレー部の男がパスを受ける準備をしていたのだ。

 麗奈からパスを貰った彼は、ノーマークだったのもあり、一度狙いを定めてからシュートを放った。


 ボールは相手チームの手に渡ったが、リングをすり抜けた後だった。これで二対二の同点である。



 コートの中には十人いるはずなのだが、序盤は両チーム共に三人ずつで戦うような試合になっていた。

 一組は麗奈とバレー部と野球部の男二人、三組は女バスの三人である。試合開始から、この六人だけがボールに触れていた。