「み、右膝で打つんだね?」

 赤い顔をしたまま康平が次のシュートを打った時、ボールはボードからリングに当たって彼のもとに戻ってきた。

「いい感じじゃん、その調子でドンドン打ってみようよ!」

 その後何度もシュートを繰り出した康平だったが、六時半になった時、先週と同じように社会人のグループが十人程体育館に入ってきた。

「今日は終わりにしよっか。……着替えたらジュースでも飲まない?」

「そうだな。あんまり動いてないけど、シュートの時は集中するから喉が渇いたよ」



 着替えが終わった二人は、体育館の入り口にある椅子に座ってジュースを飲んでいた。

「先週も言ったけど、二人だけの練習は内緒だからね!」

「別に言ってもいいんじゃねぇの? 俺も試合で失敗してもいいように、麗奈へ練習したっていう誠意をみせたいからさぁ」

「元々いじられキャラの康平は何とも思ってないようだけど、私だったら耐えられないよ。……お節介かも知れないけど、康平が秘かに上手くなって皆の驚いた顔が見たいなぁって思ったんだけどね」