翌日の朝、康平が教室へ行くと珍しく亜樹の席に数人が集まっていた。

 亜樹は、プライドが高そうな容姿と入学早々にビンタを喰らわしたエピソードがあるせいか、亜樹の机にはせいぜい親友の綾香が来る程度だった。

 どんな奴が集まっているかチラッと見ながら席に着いた康平だったが、向こうから話し掛けてきた。

「康平おはよ! 今日も湿気た顔してるわねぇ」

 麗奈である。他は球技大会でバスケに出るメンバーだった。

「悪かったな! ところで何かあったんかよ?」

「いやぁね、土日に練習した時さぁ亜樹の教え方が上手くて好評だったのよ。ここにいるメンバーは帰宅部で、平日も教えて貰えないかって彼女に相談しているところなんだ。……康平は今日部活休みなんでしょ! あんたも亜樹にお願いしなさいよ。一番練習しなきゃいけないんだからさぁ」

「……それだったら」

「あっ、ゴッメーン! 今日は用事があって駄目なんだ!」

 思わず亜樹との練習の事を話そうとした康平だったが、亜樹の声で遮られた。