臆病者達のボクシング奮闘記(第二話)

「おっ、ダテに練習はしてないようだな。たがこれからはオマケを付けるぞ! お前らは最近、梅田先生からダッキング(屈むような防御)を習ってたよな?」

「はい」

「左足を前に出した時に、小さくダッキングをするんだ。そして右足を引き付けながら頭を戻す! お前ら少しやってみろ」


 康平と白鳥は、それぞれ言われたように前進していく。

「ん? そんなに大きくダッキングしなくていいぞ。疲れるからな。頭一つ分左右にダッキングすればいいんだ」


 白鳥がここで質問をする。

「先生、右へダッキングしてもいいんですか? ……まだ習っていないんですけど」


「あぁそうだったな。その点は梅田先生と話し合っているから大丈夫だ! 特にお前らは、タイプ的にダッキングをする機会が多いんだよ。……ま、待て、今のは聞かなかった事にしろ! お前らのタイプを説明してたら練習にならないからな。そのまま前進を続けてろよ」

 二人が今にも聞きたいような顔をしていたので、飯島は慌てて遮った。