麗奈は笑って言い返す。

「大丈夫! 康平に教わるなんて愚かな事はしないから。……訊きたかったのは、今月末にある球技大会の事なのよ。あんたは何に出るつもり?」

 中学時代から口が悪かった麗奈に、康平は苦笑しながら答えた。

「あぁ、バレーとバスケとソフトボールだっけ? 全部男女混合ってヤツだろ。……どれも得意じゃねぇから適当に選ぶつもりさ」

「だったらさぁ、バスケにしてくんないかなぁ。……あ、心配しなくてもいいよ! 康平はボールに触らないで適当に動いてればいいからさ」

「ここまで期待されてると、急にバスケ以外をやりたくなってくるんだよねぇ」

 わざとらしいシカメッ面をして答えた康平に、麗奈は少し慌てた。


「メンゴメンゴ! あんたはバスケに必要なのよ。……そして一つ頼みがあんだよねぇー」

「なんだよ気持ち悪いなぁ……」


 上目遣いで猫なで声の麗奈に、康平の警戒心は更に増した。