「俺も努力しますんで、色々教えて下さい!」

 有馬も話に加わった。


「努力や頑張るなんて言葉は、簡単に使うんじゃねぇぞ!」

 梅田の語気が強くなった。

「俺達凡人はなぁ、簡単な一つの技でも、馬鹿みたいに反復練習するのが当たり前なんだよ! それでも試合にその技が出るかどうかも分からん!」


 四人の暗い表情を見た梅田先生は、苦虫を咬んだような顔で話題を変えた。

「お前らが次の段階にいきたいんだったら、まずはラリアットを避ける動作をスムーズにしろ! 但し有馬だけは、次の段階になっても当分ダッキングはしねぇから覚えておけ!」

「え、どうしてですか?」有馬が訊いた。

「お前は、別に覚えなければならない技があるからな」

「有馬だけズルいッスね!」

 パコ!

 健太の頭をミットで軽く叩いた梅田は、時計を見ながら言った。

「お前ら全員に個別の技があるんだよ! 今日は遅いからトットと帰れ」