1%のキセキ




朝、カーテンの隙間から差した日の光で目覚めた。

むくっと起きて、ちらっと先生の寝顔を見やる。

すると、私の視線に気付いたかのようにうっすら目が開いた。


「お、おはようございます」

「……おはよ」

短くそう言って、眠そうにまた目を閉じた。私も先生の方を向いて、また一緒に横になる。

そんな私に気付いたのか、再び目を開けた先生。


「……なぁ、昨日の言葉もう一回言って」

「え?」

「ずっと言ってただろ、うわ言みたいに好き、好きって」

「そ、それは……っ」

言わせて意味があるものなのか。
思わず口ごもる私に、にやっと笑う彼。


「お前さ、ヤってる際中は怖い位素直なのにな」

昨晩のことを思い出して、顔に火がついたかのように熱くなった。
しかし、これには反論できない。

どうしたものかと先生の目も見れずに慌てふためく。

「しかし、あまり、そういう行為好きじゃないと思ってたんだけどな」

「す、好きじゃないですよ」

「え、あれで?」

いつものからかっている調子ではなく、彼の素で出た言葉。

もし、やらしい女だと思われているなら心外極まりない。


「……だからあれは相手が先生だったから」

もごもご言う私に、え?聞こえない、と彼に聞き返される。

こんなの何回も言えるもんじゃない。


でも、言わないと伝わらないというのは昨日嫌という程分かった。


勝手に彼は察しの良い人間だと思っていた。

だけど自分の都合の良いようには決して考えないようだ。
それどころか私と一緒で、どちらかというと都合の悪い方で考えているよう。


つまりお互いに言葉にして伝え合わないと、ダメらしい。

まぁ、彼に変な思い違いをさせる位なら、そんな一瞬の恥ずかしさなんでどうってことない。