1%のキセキ






いつしか終わった行為、私はいつの間にか眠り、部長に抱かれたまま朝を迎えた。


さぁ早くベッドから出て、服を着て朝ごはんを作らなきゃ。


何のお味噌汁にしようかな。

そうだ、たまにはパンにしてみようか。
近所に美味しそうなパン屋さんがあったから、ちょっと買ってきてみようかな。

いつも和食だったから、驚くかも。


でも、そう思い立っても、なかなか彼の腕から出ることができない。

この重みと温もりから離れがたくて。

この無防備な寝顔をずっと眺めていたくて。


心が彼への愛しさで満たされる。


これからもこうして2人で過ごしていければ、あとは何もいらない。


でも、そろそろベッドから出なきゃ。

お互い今日は休みだけど、そんなに寝坊もできない。


惜しむことなんて何もないじゃないか。

だって、これが最後じゃないんだ、また2人で朝を迎え私は彼を起こし朝の支度をする。


これからもこんな幸せな日常が続いていくんだから。


そう思って、私はやっとベッドから重い腰を上げ、彼に声をかけた。

これから何十回、何万回とかけるであろう言葉。



「侑吾さん、朝ですよ」




うっすら彼の目が開くのを待つ。


私の声に一瞬反応したものの、またすぐに目を閉じてしまった彼。

もうっと思って、体を揺さぶろうとしたその時、腕をぐいっと引っ張られ部長の腕の中に入れられた。


「お、起きてるんじゃないですか……っ」

「……せっかくの休みなんだ、もう少しゆっくりしてもいいだろ?」

「もう、少しだけですよ?」

「あぁ」


抱き枕の如く私を抱きしめたまま、また二度寝する彼。

私は彼の鼓動を聞きながらその胸に頭を埋めた。

それが心地よくて、うとうとしてくる。

あぁ、これが最後じゃないと分かっていても、惜しまないなんて無理。

やっぱり、ずっとこうして彼の温もりを感じていたい。


自分で少しだけと言いながら、この調子では今度は彼に起こされてしまうかもしれない。


頭の片隅でそんなことを思いながら、ゆっくり目を閉じた。