ここへ来ると、悲しいような悔しいような、毎回どうしようもない気持ちに襲われた。


ただひたすら、できなかったことを頭の中に羅列するだけだった。

そんな後悔の念しかなくて、君が何を思っているかちゃんと考えることができなかった。


だけど、彼女と関わるようになってその気持ちも変わり始めていた。

ちゃんと君と向き合いたいと思えるようになった。

過去だけではなく未来に目を向けられるようになったから。





市街地から車で20分程離れたとことに、林を開拓して作られた理津子の先祖代々続く墓があった。


この下に理津子も眠る。


何度この墓前の前で、悔い謝り泣いてきたことか。

だけど、こんな清々しい気持ちで会いに来れたのは初めてかもしれない。



……好きな人ができたんだ。


私のすることに何一つ文句言わず、ただ微笑んで優しく見守っていてくれた君。

そんな君とはちょっと……いや大分、性格も容姿も違う子だけど。

黙っていれば美人の部類なのに、性格は強引でうるさくて、人の問題に図々しく首を突っ込んでくる。

だけどそんな彼女のおかげで、君とちゃんと向き合えるようになったんだ。


それまで、君に償うように、自分の人生も終わったものとして無気力に生きてきた。

そして、何かに対して楽しい、嬉しいと思うことが罪のように思えた。

まるで君に対する裏切りのように思えて、なるべくそういった感情を遠ざけてきた。

だけど、いつでも私の健康を気遣い労わってくれた君が。
私を愛してくれていた君が、私の幸せを願わないはずがないって。

むしろ、いつまでも君をひきづっていたことに怒っているかな。


……なんて、そう思えるようになったんだ。


私は、また君と同じ位想える人ができたけど、絶対に君のことは忘れない。

2人で過ごした日々はずっと胸の中にある。