どれ位の時間、唇を合わせていたか分からない。
ふと唇を離されると、名残惜しくて寂しくて仕方がなかった。
そんな私は、はからずも物欲しそうなせがむような目で、そうちゃんの唇を見つめていたのかもしれない。
でも、もう一度して欲しくてそのままそうちゃんの目を見つめると、今度はベッドに押し倒された。
もう一度、今度はせっつくような荒々しいキスをされる。
互いに好きな者同士がキスだけで終われる訳なく、
「未結いい?」
そう聞かれ、私は一瞬躊躇する。
頷いてしまったら、もう終わり。
情欲が見え隠れする彼の瞳は、一度始まってしまえばもう止まらないだろう。
でも私も、ここで終わりたくない。
その質問に、ゆっくり頷いた。
途端に後ろを向かされ、脇の下のファスナーを下げられる。
後ろから首元に唇を落とされ、ドクンと胸が大きく鼓動した。
その間にも、ウエストを締めていたリボンを解かれ、
って、あ……
不意に、我に返る。
そうだ、ドレスの下にはぎゅーぎゅーに締め付けたコルセットの存在があった。
わ、忘れてたぁ……っ!
慌てて、後ろを振り向きそうちゃんの手を止める。
「そ、そうちゃんっ、自分で脱ぐっ」
「いいよじっとしてて」
しかしそう言われて、すぐ俯せにされてしまう。
あーあー、今頃、やけに締め付けたコルセットが1番見られたくない人の眼下に晒されていると思うと……。
なんと嘆かわしい、俯せだから見えないだろうと変な顔で泣き真似をする。
ぷちん、ぷちん、ぷちん、
器用にコルセットの鉤が外されていく。
……あぁ、すっごくすっごく嫌な予感がする。主にお腹中心に。
私はこっそり、ふんっとお腹に力を入れた。
しかし、やっぱこれはだめだと、そう思ってまた後ろを向いて声をかけた。
「そうちゃん……っ」
しかし、今度は肩をベッドに抑えつけられてしまった。
そして目が合ったそうちゃんの瞳は、情欲に染まり切っていた。
「だめ、もう我慢できない」
……あぁ、私も我慢できないよ。
そして、その予感は最悪の結果になって現れようとしている。


