<side 未結>



会も終わり、皆がぱらぱらと帰り始める中、


ヴー、ヴー、ヴー。

不意に手に伝わる振動。
クラッチバッグの中の携帯が鳴った。

見てみると、そうちゃんからメールが来ていた。
すぐ内容を確認すると、


『この後、一緒に過ごせる?』


一瞬にして胸が苦しくなる。


『うん』と顔文字付きですぐさま返信した。



『じゃ、今夜ここに泊まっていかないか?』



……ーーっ!?



い、一緒に過ごすってそういうことっ?

嬉しくて、つい軽い気持ちでうんと言ってしまった。


けど……。


これがどういう意味を指すのか分からない程私も、もう子どもじゃない。


いつまでも中途半端ではいられない。
そろそろ覚悟決めないと……。

素直になるって決心したばかりじゃない。

私はどうしたいの?




『じゃ、終わったらロビーで待ってるから』


やり取りを終えて、思わず携帯を両手でぎゅーっと握りしめる。


大丈夫、今日の下着は可愛い。
ドレスを着るからムダ毛の処理もばっちり!


だけど、いきなり泊まりってハードル高すぎない?
そうちゃんの仕事が忙しくてなかなか会えないから、ゆっくり2人で過ごすにはこういう機会しかないのかもしれないけど。

キスだってまだしてないのに、もしかして今日一気に最後までしちゃう感じ?

いやいやだって、まだ正式に付き合い始めた訳じゃないのに……っ。




中学生の頃、一度彼と経験しているけど正直あまり記憶にない。

思えば物心ついた頃から、心の中では互いに両想いだったのに……。
それなのに、あの行為は2人とも胸が痛くなるようなとても悲しいものだった。


だけど今度はそうはならない。
お互いに想いが通じ合えているのは分かっているから。

さっきまで宴会にいたそうちゃんの姿を思い出す。

色々、想像してかぁーっと顔が熱くなる。

思わず顔を覆って、抑えきれない気持ちを心の中で叫んだ。