「気持ちはわかるが、1晩休んで、ゆっくり策を練るなり、相手の剣筋を観察するのも必要なのよね」



敵を知るには敵の技を観ること――道理にかなった言葉だ。


「わかりました」

俺は静かに応じる。


「ん……総、目隠しを外して」


「いいんですか? また鼻血を……」



「目隠ししたままでは何にも見えないわよ」


「でも、土方さん」


「総、わからないの?
翡翠は覚悟を決めようとしてるのよ。
この動乱に身を置く覚悟……壬生浪士として、此処にいる覚悟を」


「でも……」



「死の覚悟を知らずして何をと思う?
真刀を握ったことのない者に何がわかるかって、顔ね」


沖田さんが息を殺している。



「確かに……。翡翠、『斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、踏み込み行かば後は極楽』覚えておきなさい」



「土方さん……」