あ!!……ヤバいっ



「先生ーーっ、翡翠が鼻血出しました」


立ち上がったこいつは、剣道部副部長。



黒板に向かっていた英語教師が、慌てて振り向く。


「あら、翡翠くん。大丈夫かしら。保健委員さん、保健室に」



いやいや、いいから。
ティッシュを詰めれば、大丈夫。


俺は、学ランのポケットに手を突っ込む。


ない!?
ティッシュが、ない。



鼻血がポタリポタリ、机に垂れる。



「翡翠くん、ティッシュ」


隣の女子がティッシュを差し出し、立ち上がる。



「保健室にいこうか」



言いながら、腕に軽く触れる。



「1人で行けるし」


俺は女子の手を払い、すくっと立ち上がる。



恥かしい。
何で、鼻血が。


頬が火照っているのがわかる。


「ふふっ、かわいい」



カーッ、止めてくれ。