話しているのは、近藤さんと土方さん、山南さん……と、もう1人。


文久3年9月……。

浅葱色の隊服は、まだ新しかった。

屯所の看板はまだ、壬生浪士組だった。


読みかけの小説、内容を懸命に思い出そうとする。


……8月には確か――。

会津藩·薩摩藩が中心になった公武合体派が、長州藩などの尊皇攘夷派を京都から追い出したクーデターがあったはずや。

堺町門の変やったかな。

御所を警備するっていう……。

けど……、御門を固めていた会津藩士たちが、壬生浪士組を知らんかって槍を構えて通さへんで……揉めてるとこに芹沢が、哄笑しながら進み出て来たんや。


会津藩の兵が槍を突きつけても怯みもせんと、芹沢は鉄扇でその槍先を悠々と煽い「京都守護職預り壬生浪士組である」と豪快に迫って、門を通ってん。