〜幸せな日々編〜
「子供がね、できたみたい」
そう告げたのは今から5年前のこと。
あまり表情を変えない斗真が、その日だけは
とても驚いた顔をして。
「………」
「と、うま?」
何も喋らない斗真を心配して声をかけると
「…美優花、こっち来い」
「ん?どうしたの?」
言われた通り斗真の近くに行くと
いつもより、倍の力でぎゅっと抱き締められた。
「…夢みてぇ」
「そうだね」
「すげぇ嬉しい。…ありがとな」
そう言ってあまりにも幸せそうな顔で笑うから
私もすごく嬉しかったのを今でも覚えている。
そして
「斗真、……それお茶じゃなくてマヨネーズ」
あの冷静な斗真が動揺していたことも
洗濯物を干しにベランダへ行くだけで
「…俺の寿命を縮める気か。
頼むから俺の目の届く所に居てくれ」
過剰に心配されたことも
「これ、買ってきたの?」
「いや、親が送ってきた」
性別もわかっていない時に、大量の服が送られてきたことも
「でも、こっちは送られてきたものじゃないよね…?」
「……買った」
同じく斗真も大量に子供服を買ってきたことも。
…全部、いい思い出だ。


