「……美優花、まさかあんた」
お母さんはおばあちゃんから視線を外し、私を睨む。
その瞬間、びくりと震える体。
怖い。
ただその一つの感情が私を埋め尽くす。
と、その時だった。
私とお母さんとの間に、誰かが入ってきた。
………斗真。
今の私には斗真の大きな背中しか見えない。
……うん。
大丈夫。
「スミレ。そこを退きなさい。
貴方は沙希をよんできなさい」
威圧感のあるおばあちゃんの話し方。
さすがのお母さんもおばあちゃんには逆らえないのか、家の中に入っていった。
おばあちゃんが家に入って、そのあとに続き私と斗真も入っていく。
見慣れた玄関。
そこに私の靴は一足もない。
懐かしい、なんて感情はなかった。