不器用な彼の愛し方《番外編完結》


....喋らないんじゃなくて喋れないんだよ。


昔から私の話なんてまともに聞いてくれた事なかった。


幼稚園で絵を描いた時

『見てみて!これ今日描いたの!』

そう言ってお母さんに見せに行った。

でも返ってきた言葉は

『うるさいわね、静かにする事もできないの?あっち行ってちょうだい』

冷たい言葉と冷たい視線だけだった。




でもお姉ちゃんが私と同じように絵を見せれば


『わあ!凄いわね!将来は画家になっちゃうのかな?!やっぱり沙希はいい子ね〜』


優しい言葉と優しい笑み。


もうその頃からこの家に私の居場所なんてなかった。




話しかけても怒られるか無視された。

だから必要最低限の会話はしてこなかったのに。