生暖かい風が吹き体を包み込んでいく。 何処かで鳴き始めたセミが、夏が来るのだと知らせてくれる。 「今日、斎藤と話してたよな?」 何時ものごとく、呼び出されたのは屋上。 そして何時ものごとく、発せられる言葉。 「俺がいるのに何で斎藤と話した?」 目の前にいる彼は、私にジリジリと近寄ってくる。 割と整った顔が、近づいてきて、私は一歩一歩後ろに下がる。 私、返事してないのに、勝手に話を進められ、ため息を着く。