「泣いたのか」
私の目元に斗真の指が触れる。
「お前を泣かせたのはあの男か?」
ぐっと眉間にしわを寄せ顔を近づけてくる。
.....ち、近い。
恐ろしいほど整った顔が近づいてきて、思わず固唾を呑む。
「ち、がう。私が勝手に泣いただけ」
そう言いながら数歩後ろに下がる。
でも斗真はそれを許さないかのように、また近づいてくる。
「....この首についてる手のあとは?」
その言葉で脳裏に浮かぶ悠の顔。
苦しそうに私の首に手を回してきた悠。
そこまで強く締められたわけじゃないのに跡ついてたんだ。
斗真になんて言っていいのかわからなくて、視線を下に落とし曖昧に笑ってみる。


