涙を拭い歩き出そうとした、その時。 「....お礼はキス、な」 斗真が顔を上げ、不敵な笑みを浮かべ私を見て言った。 ........聞かれてた!? それより何て言った? き、キスって聞こえたような気がしたのは気のせい? 「........幻聴?」 「なわけねぇだろ」 「.......っな、!」 斗真が席を立って、徐々に私に近づいてくる。 私との距離、30センチになったところで斗真の手が私に伸びてきた。