「え!もう嫌いになったの?」
大袈裟に驚くのは私じゃない。
「そうだよ。何言っても変わらないからもういいの」
答えるのも私じゃない。
「今回は安定だと思ったのにな〜」
早く着かないかな…
いつもと同じ帰り道が今日はやけに長く感じる。
「でもさ、笑えるよね。まだ2週間も経ってないじゃ〜ん」
ケラケラ笑ってるのも私な訳なくて。
なんで皆そんなに敏感に聞きたがるんだろう。
人の恋愛事情なんて私にとっては子守唄。
でも今は帰り道だから寝ちゃうとこじゃないか…
「…ねえ、ユキ聞いてる?」
しまった。
「えっ?あ、うん!聞いてるよ」
「あのさー、サキが別れたって話してるのになんでそんな白けてるわけ?なんかあった?」
「別に?何もないよ?」
皆この手の話が好きだ。
サキと繭とはいつも3人で帰ってる友達。
普段からも仲がいい。
だから2人のことはほんとに大好き。
サキは男付き合いが上手で、なぜかいつも彼氏がいる。
いない期間なんてほとんどなかった。
だからいつもこの手の話が尽きない。
今日もまたすぐに別れたって話をしてたけど、私は全然驚かなかった。
だってまだ私たち中学生だよ?
そんなものでしょ。
「じゃ、私帰るね。また明日」
そう言っていつもの分かれ道、2人と分かれた。
