《時は経ち…》


「いってきま~す!」


「みぃちゃん!忘れ物ない?」


あたしが家を出ようとした時、お母さんの声が聞こえた。


「大丈夫だよ!お母さんじゃないんだから…!」


あたしは叫ぶ。


お母さんは天然だから忘れ物とかよくするんだけど、あたしは違う。


しっかり者のお父さんに似たみたい。


もう一度、いってきますと言って家を出た。


ここはマンションの8階だからロビーでエレベーターを待つ。


自己紹介しなくちゃね!


あたしは森瑞葉[もりみずは]。


今日から高校生になる。


高校は桜高っていう春になると桜が綺麗に咲く学校。


お父さんとお母さんと…あとお隣の良平くんと雫ちゃんの母校なの。


エレベーターが来てあたしは乗った。


そして、『1』を押して『閉』のボタンに指をあてた時…


「エレベーター待って!!」


走る足音と共に聞こえてきた。


…またか…。


あたしは迷わず『閉』を押す。


扉が徐々に閉まる。


ガタッ━


「みーずーはー!高校生にもなって子供っぽいことすんなよな!!」


奴はそう言いながらエレベーターに乗ってきた。