「ゼンさん、私……、もうダメだ。みなみの母親失格だよ。……あんなこと、しちゃった……」


「うん」


ゼンさんは私の言葉を無理して否定せず、話を聞く姿勢でいてくれる。
私はせきをきったように続けた。


「最近、全然みなみを可愛いと思えなくて。むしろ、憎らしくて。こんなんじゃダメだってわかってるのに。でもみなみは泣くばかりで……もう疲れちゃった」


私は泣きながら言った。

隠しておこうと思った気持ちが溢れ、ボロボロこぼれた。


「挙句におっぱいまで出なくなっちゃって。もう、私、母親の価値ないじゃん」


「母親の価値は充分にあるよ」


ゼンさんが言った。

そして、布団で防寒されたみなみを私の腕に預けた。


「佐波がいて、みなみを抱き締めてやる。それだけで、みなみには価値があると思う。おまえの気持ちがついてこなくても、母乳が出なくても、おまえ以外にみなみの母親は務まらない。おまえがどんな母親だって、みなみはおまえが大好きだと思うぞ」