「よし、メシ食いに行こう」


ゼンさんが気持ちを切り替えるように、カラッとした声で言った。


「え、外食なんか、みなみがうるさくてできないよ……」


私は惨めに鼻をすすりながら答える。

ゼンさんは平気そうに笑い、みなみを抱いたまま立ち上がった。


「ま、どうにかなる。おまえは授乳ケープとガーゼのハンカチだけ持って行けよ」




ゼンさんはみなみに防寒のポンチョを着せると、そのまま自分で抱き、玄関に向かう。
私を伴い外に出ると、彼が連れてきてくれたのは、近所のファミレスだった。

今の部屋に引っ越してきた日に来たファミレスだ。


平日のファミレスは19時過ぎでも開いた席があり、私たち家族もすぐに席につけた。

とてもうるさい。
大学生グループや高校生のはしゃぐ声が店内に響いている。