センセーの顔には、動揺が浮かんでいた。

「…センセーまだ、引きずっているんですか?」

「…少しだけ、やっぱり忘れれない。

俺等は、中学校からずっと付き合っていたんだよ。

結婚も誓った。だけど事故で…」

(忘れれない過去なんだ…。彼女がいなくなって、辛いんだ。

だから捻くれて、前を向けなくて。不良になったんだ。

全部彼女が関係していたんだ)

急にもやが強くなった。

今はいなくたって、彼女の存在はセンセーの中から永遠に消えない。

「あいらの存在までなくなったら…、俺はもう辛い」

「それはセンセーが弱いだけちゃうんですか?」

「そ、奏平!酷いよ!」

「あいちゃんに嫌われてもええ。だけど、彼女をあいちゃんと被せんといてくれますか」

「センセー…あたしは彼女とは違いますよ」

「そんな事、知ってんだよ」

「…センセー」