「…さぁ?分かんないよ」
「あいちゃん…、俺は誰が好きであっても。俺は好きやで」
奏平は一途に思ってくれている。
(…だけど、迷えないんだよ。ごめん…)
「奏平、ありがと」
「ええねん、あいちゃん。俺まっとるよ」
「うん…」
本当に待ってくれる気がした。
それが嘘をつかない奏平だからだ。
「教室、戻ろ?今日は色々、決め事あるんだし」
「せやな」
ようやく奏平は立ち上がってくれた。あたしは、奏平の背中についている砂を落とした。
「ほら」
「あいちゃん、頼もしいなぁ」
(そんなに切なそうに笑わないでよ…。何か苦しいじゃん…)
報われない恋を、どうして奏平はそこまでするんだろう。
そう思いつつ、教室に入った。
「あ、あいら!やっと帰った来たやん!」

