保健室についた

が、あいにく先生が出張とのことで誰もいなかった




つまり……

小鳥遊と二人きり。

しかも保健室。


鍵をかけられる、カーテンもある、ベッドもある





やばい、理性が吹っ飛びそうだ


落ち着け俺…



そんなことより小鳥遊の腕だろ!





「うわ、ひでぇな
とりあえず冷やせ!」



「おまえが言うなっちゅーの。
こっち来て!消毒するから」



「んなの後でいいんだよ
それよりお前の腕が先だろ
女なのに…ほんとばかだなお前
普通来るか?あの状況で」



「いやぁ、見つけた時先生呼ぼうとしたんやけどな?
あの人バット思いっきり振りかぶってたやん。気ついたら体が勝手に動いてた」



「ったく、無茶ばっかしやがって」




「あはははーすいません」



何謝らせてんだよ俺…



「いや、俺の方こそごめん
俺のせいで…」


やばい、今さらになって罪悪感ハンパない




「ごめんな小鳥遊。
ごめん、ほんとごめん…」



俺は小鳥遊の腕を冷やしながら何度も謝った…
何度も、何度も…





「橘がやったんちゃうやん
私が勝手に入って行って勝手に作った怪我。
橘が謝る必要なし!」




「でも…」




「しついで!
こうなったのも私の自己マンのためやから!自業自得なんやって!」




そう言って小鳥遊は俺に笑ってみせた





なんで…




「…なんでそんなに笑えんだよ
なんで俺なんかのためにあんなことできんだよ…なんで…」




「俺なんかとか言うな!!」



そう言って小鳥遊は俺の顔を両手で掴んだ




「橘は一回もやり返さんかったやん!
あんなにやられたのに、ほんまにすごいと思う!かっこよかった!
やから俺なんかとか言うな!
お前と違ったら私もあそこまでせんわ!」




その言葉を言われ、俺は固まってしまった


俺じゃなかったらあそこまでしない?

それって……

「それどういう意味で言ってんの?」



少しだけ…



「は?何が」



「俺じゃなかったらあそこまでしないの?」




自惚れてもいいのか……?




「当たり前やん!
あんな、痛い思いするの分かってて行くとかあほなことお前じゃなかっ…た…ら…」



ようやく自分が言っていることの重大さを理解したのか、小鳥遊の顔がどんどん赤くなっていく






まじか、どうしよ、やばい…





ギュッ






「俺今めちゃくちゃ嬉しいんですけど」



思わず小鳥遊を抱きしめてしまった。
抱きしめずにはいられなかった。


「う、ぁ……
と、と、と、と、取り消し!!
今言うたの取り消し!!」




「はい無理でーす」





「言うとくけどそういう意味じゃないからな!!
勘違いすんなよ!?」




「じゃぁどういう意味だよ」


小鳥遊から体を離し小鳥遊の目を見てそう言うと、



「…それは…」



目をそらし、おろおろしだした



その姿が、可愛すぎて…





「小鳥遊……」