「何でとか言われても
一番仲いいから、流れ的に?」



「そんなん俺だってお前と仲いいだろ
何で健太だけなんだよ」




「え?何でって…」


うーん、と考え込む小鳥遊


こいつもしかして…


「健太のこと好きとか?」




「!?」



俺の腕に巻いている包帯を小鳥遊が上に放り投げた




動揺しすぎだろ




「あほ、なんですぐそーなるん!
好きちゃうわ!」



「うそつけ
めちゃくちゃ動揺してんじゃねーか」



「嘘ちゃうってほんま!
お前が変なこというからびっくりしたんや!
健太はほんまに仲いい友達の1人!」






「じゃあ、俺は?」



「え?」



何言ってんだ俺






「俺は結構お前と仲いいと思ってたけど、お前は違うのか?」



ほかの男を下の名前で呼んでるってだけで


いらいらする



それでも少しでいいから小鳥遊の中で俺は特別って思って欲しくて…







「私もそう思ってるけど…

でも橘も私のこと『小鳥遊』って呼んでるやん
だから下の名前で呼ばれるの嫌なんかなって思って…

てかみんな『日向』って言うけど呼び捨てしてる女の子おらんし

君付けは今更恥ずかしいし
だから『橘』でいいかって」




そう言われて俺は少しだけ嬉しくなった


こいつが俺と同じ事を考えてたから



「嫌じゃねーしお前だったら別にいい

俺も、お前が俺のことずっと『橘』って呼んでたから俺に下の名前呼ばれるの嫌なんだと思ってた」



そう言って俺は小鳥遊の頭をポンポンと叩いた


いつもなら手を跳ね除けるとか『やめろ』とか言うのに


今日のこいつは、




「そうなんや」


ただそれだけ呟いて、包帯を巻き続けた

変に大人しいから怖い。



こいつちゃんと意味分かってんのかな




小鳥遊の声のトーンも包帯を巻く力も全く変わらない




ちらっと小鳥遊の顔を見るとうつむいているせいでどんな表情してるのか分からない


が、耳が真っ赤だった



やばい、だめだ

可愛すぎる

もっと真っ赤にしてやりたい