「いいんじゃねーの?」


「え?」



「いたらいいな、そういうやつ」



「お、おぉ」


あれ、絶対バカにされると思ったのに。



「じゃぁ、もうちょっと女らしくならねぇとな!」



「うっさいわ!
いつかでいいんよ!
やからこの性格変えるつもりありませーん」




「あっそ
もしかしたら今のお前が好きって言うやつ案外近くにいるんじゃねーの?」




「おらんおらん!
私の周りの男子は私のこと友達としてしか見てないもん!

こんな女好きになる物好きおらんわー」





「まじで分かってねーのな」



「ん?何?」



「べっつにーーー」


そう言って橘はまた少しムスっと顔をした

百面相か



「てか、橘はどうなん?
どんな子が好きなん?」



そう言えば橘のタイプの子の話ら聞いたことなかったなぁ

結構気になったりするな〜



橘の話に興味津々な私は少し体を前のめりにして話を聞く体制に入った



橘はというとずっと首を触り続けている



これは落ち着かない時にする橘の癖だ




「俺、特定のタイプの子っていないんだわ
その時によって変わる
俺が好きになった子が俺のタイプの子」


へえええええええ
初めて聞いた
いや、ほんまにそうなんやけど




「橘にしては意外やな」



「おい、どういうことだよ」



「だって橘チャラいからもっと、巨乳なやつとかスタイルいいやつとか顔可愛いやつとかそんな感じだと…」



「お前どんな目で俺のこと見てんだよ」




「チャラいヤンキー」



「お前まじでなめてんな」




「あ!じゃぁ今好きな子とかおるん??」



「んー、まぁいんだけど結構落とすの難しいんだよなぁ」




橘が弱気なこと言うてるの珍しいな
どんな子なんやろ



「どんな子なん?」


気づけば勝手に口が開いていた


なんやろ、めっちゃ気になる
橘を夢中にさせる子か。
よっぽど可愛いんやろなぁ



そう聞くと橘はまたいつもの首を触る癖を見せた



「んー、なんつーかなぁ
周りに流されなくて、人のことちゃんと見えてて、自分をちゃんと持ってて、元気で、かわいいとこたまーーにしか見せないけどそのたまーーにしか見せない可愛さがもうなんとも言えないっていうか……」


おぉ、ぞっこんだなこいつ



「へええええええ」



「なにニヤニヤしてんだよ」




「いやぁ、好きだなーって」




「はぁ!?」




「その子も幸せやね!
そんな風に思ってもらえる人おって」




「え…あぁ、なるほど」




橘も好きになる子はちゃんと見ていると分かって少し嬉しくなった


『女なら誰でもよさそう』とか偏見だったなぁとちょっと反省。









なんやろ、嬉しいのは、嬉しいんやけど…






なんか、変な感じする


もやもや?
ちくちく?


なんか…









嫌やな、橘に好きな人おるの……








なんやこれ、最低か自分
何考えてんのほんま