そして放課後…

橘と二人きりです



いつもやったら全く意識なんかせんのに
今日は瀬奈まで変なこと言うから不覚にもちょっと緊張してしまう……






「くっそー山本の野郎
全然終わんねーじゃん!

大体からして量が多過ぎんだよ
ガチで終わる気しねぇー…」


「橘、手止まってるで
死ぬ気でホッチキス止めろ
ほんまに終わらんぞ」



ほんまに今日に限ってやること多過ぎやし…
もうさっきからちょいちょい沈黙続くし…
山本のあほーーー



二人だけの静かな教室にパチンパチンとホッチキスを止める音だけが教室に響く






「なぁ小鳥遊?」


しばらく続いた沈黙を破ったのは
橘だった



「ん?何?」



「お前ってさー…好きな奴とかいんの?」



「はぃ!?」

沈黙を破ってまでする話がそれ!?

今日はみんなどうした!
恋バナばっかりやん!



「いんの?いねぇの?」


「………おるよ」

ほんまはおらんけど、どんな反応するんか見てみたくなってちょっと嘘をついてしまった



「……ふーーんおるんやーーー」


「う、うん」

すると急に橘の声のトーンが低くなった


それから橘はずっとだんまりでホチキスの音だけがうるさく教室に響いた

それも一回一回力がこもって、
『バチンッバチンッ』てな感じで



何か、急に不機嫌になってきてんけど…
どうしよ、弁解しにくくなってきた。





「誰?」

またもや沈黙を破ったのは橘だった